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大阪公立大学大学院 生活科学研究科 居住環境学講座 【居住空間構造学分野】 <時間依存性構造学>  渡部嗣道 研究室(わたなべ つぐみち)モバイル

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RC造の解析5:立体骨組架構の経年劣化解析

解析6-1 ▶ 乾燥収縮ひび割れ解析 ◀

【概要】
本研究は,乾燥収縮ひずみによって生じる鉄筋コンクリート構造物について,ラーメン構造の部材間の拘束によって柱および梁に生じるひび割れに伴う塑性ひずみを取り扱い,高層多スパン骨組のフルモデルにおけるFEM解析によって評価することを目的としている。ここでは,コンクリートの引張破壊後の塑性ひずみをひび割れひずみとして取り扱うほか,梁および柱の主筋に生じる応力度を算定した。その結果,ひび割れひずみが生じる箇所やその大きさ,さらに鉄筋に生じる圧縮応力の大きさなどを明らかとした。
【研究目的】 
 鉄筋コンクリート構造物にひび割れが発生すると,耐久性や構造性能に支障を生じることがある。そのため,鉄筋コンクリート構造物の乾燥収縮ひび割れを防止する材料的な方法として,単位水量の低減や収縮低減材あるいは膨張材などの混和材料技術が採用されている。しかし,同構造物のひび割れの発生は,鉄筋や部材間の拘束度によっても大きく影響を受けるため,より詳細なひび割れ防止設計を行うには,コンクリートの材料的な特性だけではなく,骨組みの拘束効果などの構造的な影響を考慮できるフルモデルに対応した設計システムによる評価も重要となる。しかし,鉄筋コンクリート造ラーメン構造のフルモデルにおける解析の実施例はほとんど見られない。そこで,著者の一人は,前報1)において同構造物のフルモデルにおける弾性解析によって乾燥収縮ひずみが生じた場合の発生応力やひび割れ指数などの評価を行った。本研究では,それに続いて,構造物全体におけるひび割れ進展の状況を評価するために,著者らが開発した時間依存性を考慮した3次元弾塑性構造解析用ソフトウエア2)によって,鉄筋コンクリート構造物の乾燥収縮によるひび割れ解析をフルモデルで行い,主に柱・梁に生じるひび割れの進展や鉄筋応力についての考察を行った。
【結果】
 時間依存性を考慮した弾塑性構造解析用ソフトウエアを開発し,乾燥収縮が生じる場合の鉄筋コンクリート造ラーメン構造のフルモデル解析を20年までの解析期間について行った結果,以下のことが明らかとなった。
1) 梁に生じるひび割れひずみは,経年とともに低層階から上層階に進展する状況が確認され,主に低層階および中央柱に近い梁に大きな値を生じた。
2) 柱に生じるひび割れひずみは,主に低層階おいて大きな値を生じた。
3) 柱・梁の主筋に作用する応力度は,最終的に圧縮応力となり,梁については降伏点の1/4~1/3程度,柱については降伏点の1/3程度の応力が作用していることが分かった。
4) 引張軟化領域の違いについては,ひび割れひずみについてはややばらつきがあったが,主筋応力についてはほぼ同等な値を示した。
【発表論文】
2015年度日本コンクリート工学会年次論文報告集
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解析モデル
5年後のひび割れ図
10年後のひび割れ図
20年後のひび割れ図

解析6-2 ▶ 乾燥収縮ひび割れが構造物の保有水平耐力に及ぼす影響

【概要】
 鉄筋コンクリート構造物にひび割れが発生すると,耐久性や構造性能に支障を生じることがある。前川らは,6層の集合住宅をモデル化した実大試験体で,乾燥収縮ひび割れを生じさせた場合の動的破壊実験で,その影響によって大きな変形を生じることを実験的ならびに解析的に評価している。しかし,この研究の他には,乾燥収縮ひび割れと構造性能との関係に関する実物大を想定した解析的な研究はほとんど見られない。
 鉄筋コンクリート構造物では,大きな乾燥収縮ひずみが生じる場合,部材間の拘束によって乾燥収縮ひび割れが生じる事例が報告され,構造性能や耐久性に与える影響が危惧されている。本研究では,その乾燥収縮ひずみが構造性能に及ぼす影響を評価するために,ラーメン構造を対象としたフルモデルにおいて,著者らが開発した3次元非線形有限要素法解析ソフトを使用し,乾燥収縮ひび割れ解析とPushover解析とを連成実行し,構造性能への影響を評価した。
【結果】
「Soft-OCU」によって,鉄筋コンクリート造ラーメン構造の乾燥収縮ひび割れ解析を行い,引き続いてPushover解析を行った結果,以下のことが明らかとなった。
1) 乾燥収縮ひずみが生じると水平部材には層間変形が生じ,それは下層階になるほど大きくなる。そのため,1階の柱脚には塑性ひずみが生じる。
2) 同様に,乾燥収縮ひずみが生じると,梁は柱や基礎梁などの拘束を受け,軸方向に引張力を受けてひび割れが生じる。塑性ひずみは低層階ほど大きくなる傾向を示す。
3) 乾燥収縮ひずみが生じた後にPushover解析を行って保有水平耐力を求めた場合,乾燥収縮ひずみが大きいほど保有水平耐力は低下した。これは,乾燥収縮ひずみによって梁に引張応力やひび割れが生じることや,低層階の柱脚部が損傷されることなどによって,建物の水平方向の構造性能が低下したことによるものと考えられる。ただし、本解析で適用した限界変形角の適否やこのような構造性能の低下の要因についてはさらに詳細な検討が必要である。
【発表論文】
2016年度日本コンクリート工学会年次論文報告集
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解析モデル
長期解析:ひび割れ図
短期解析:変形図
保有水平耐力計算
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